国土交通省

日本は、国土の大半において春夏秋冬が明確にわかれている国であり、人々は四季の移ろいに敏感で、自然に対する感受性が鋭いと言われている。自然を題材とした、または、自然の美しさについて記した書物は、古来より多数書かれている。例えば、鎌倉時代、「徒然草」の作者である吉田兼好は、「花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは」と記し、自然の美しさは、満開の花や満月だけではなく、これから咲くつぼみや雨の中の月など不完全なものの中にも存在するということを述べており、自然の様々な姿を愛でていたことがうかがわれる。 さらに、江戸時代には、浮世絵に、花を愛でる描写や、自宅やその庭で盆栽等の植木を育てる描写があること等から、花見や園芸の文化は庶民にまで浸透していたことが分かり、人々は、身分を問わず、広く自然を楽しんでいたと考えられる。 また、明治・大正期の著名な地理学者である志賀重昂は、「日本風景論」において、日本人は欧米人や中国人と比較して、自然現象に対して敏感であるなどと述べている。